「一人娘」グアダルーペ・ネッテル著、宇野和美訳

公開日: 更新日:

「一人娘」グアダルーペ・ネッテル著、宇野和美訳

 ラウラと親友のアリナは、「子どもを持たない」ことで意見が一致し、パリで自由な生活を謳歌していた。しかし30代になりメキシコに戻ると、アリナは結婚し、子どもを望むように。不妊治療の末、命を授かるが、妊娠8カ月のとき、生まれてくる娘(イネス)は障害があり、生まれるとすぐに死ぬと医師に宣告される。アリナと夫は覚悟を決め、出産当日、イネスとのお別れをするためにラウラや親族を呼び寄せるが、イネスは生き続け、アリナは戸惑いを隠せない。

 一方、ラウラはアパートの隣人である母子家庭の男の子ニコラスと交流を深めていく。時に食事をふるまい、公園へ連れ出し、やがてニコラスを放っておけない自分を見つめるようになる。

 本書はメキシコ人作家による、ブッカー国際賞最終候補作。産み育てることをテーマに、母になること、ならないことの葛藤、親はどこまで自分を犠牲にするのかなど、女性たちの声を代弁するかのようにラウラの「疑問」としてつづられる。障害を持つ子の母となったアリナの、イネスのベビーシッターに対する嫉妬やラウラのベランダに巣作りした鳩のエピソードなど重層的な物語の背景にあるのは、母性に対する社会通念。それらを解きほぐしながら、女性たちの互助を通じて希望を描いている。 (現代書館 3080円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    麻生太郎が「皇室典範」改正を急ぐ理由は…“日本会議の30年の集い”に間に合わせたいから

  2. 2

    福山雅治も結婚後は苦戦…亀梨和也も正念場を迎えている

  3. 3

    佐藤二朗の地上波ドラマはしばらく厳しいが…橋本愛の事態はもっと深刻

  4. 4

    安青錦は「カラダ」より「アタマ」に課題…2ケタ勝利で大関復帰を果たせるか

  5. 5

    小栗旬は「思い入れがない」コメント…福田雄一監督また炎上でも仕事が減らない映画業界のウラ事情

  1. 6

    要潤、玉山鉄二、速水もこみち…40代イケオジ俳優3人の「人生いろいろ」

  2. 7

    高市首相に“もう1つの爆弾”「副首都法案」炸裂の可能性 会期延長なら疑惑追及&身内疲弊のWパンチ

  3. 8

    二宮和也をNHKが起用で音楽特番MCは元嵐まみれに…テレビ局では“ポスト嵐”探しが迷走中

  4. 9

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  5. 10

    引退した東山紀之に錦織一清演出で「少年隊」還暦コンサートのすすめ