城下尊之
著者のコラム一覧
城下尊之芸能ジャーナリスト

1956年1月23日、福岡県北九州市生まれ。立教大学法学部卒。元サンケイスポーツ記者。82年、「モーニングジャンボ 奥様8時半です」(TBS)の芸能デスクとなり、芸能リポーターに転身。現在は「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)、「朝生ワイド す・またん」(読売テレビ)、「バイキング」(フジテレビ)に出演中。

笑いで生きた師匠を笑いで…明石家さんまが会見しない理由

公開日: 更新日:

 他にも、家にいた弟子が「出掛けるから黒い靴を出してくれ」と言われたので、下駄箱にあった4足の黒い靴を玄関に並べておいたら、やってきた松鶴師匠は「なんじゃこりゃ、黒いの言うんはコレのことじゃ」と白い靴を取り出し、それを平然と履いて出掛けたというエピソード。師匠の理不尽さというか、へそ曲がりぶりというか、いい意味で弟子に身をもってギャグを教える人柄を毒舌を交えて語っていたものだ。とりあえず、予定調和の「いい人でした」なんて話は出てこない。

 笑いを取ることで生きてきた人を送る時に、やはり笑いでというのがその人にとっての供養になると、自然と感じているのだろう。

 我々マスコミもまた、亡くなった芸能人の方々の訃報を伝える時、その人の活躍の歴史を振り返り、一番適した送り方を考える。役者だったら映画やドラマの名シーンを放送し、歌手だったらコンサートでの名曲、代表曲を時間の許す限り流したいと考え、その話題で番組を構成していく。それこそがマスコミが訃報を扱う意味であり、供養であると思う。

 明石家さんまは、もう長い間、取材を受けることをしていない。冒頭のように、ステージや自分の番組では自然な形で自分のことも話をするが、それは笑いになるようにしっかり計算されている。大昔、離婚会見で額に「×」を書いて出てきてハチャメチャな話をしていたが、会見は途中で真面目な質問をされることがあり、シンミリとすることもある。

 さんまと松之助師匠の間にもほろりとする逸話が多い。今回、さんまが舞台で師匠の笑いを取ったのは、話の腰を折られずに「笑い」で生きてきた師匠に「笑い」で供養をしたいという表れだろう。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う