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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

TBS系「俺の家の話」さくらが言った“介護にまさかはない”

公開日: 更新日:

 長瀬智也主演「俺の家の話」(TBS系)のキーワードは、「プロレス」「介護」「能」の3つだ。

 一見バラバラだが、脚本のクドカンこと宮藤官九郎の手にかかると、これまで見たことのない「ホームドラマ」になる。

 観山寿三郎(西田敏行)は能の二十七世観山流宗家で人間国宝。2年前に脳梗塞で倒れ、車いすの生活となった。

 長男の寿一(長瀬)はプロレスラーだったが、引退して実家に戻った。介護ヘルパーの志田さくら(戸田恵梨香)と共に寿三郎の世話をするためだ。ただし経済事情もあって、介護の合間に覆面レスラー「スーパー世阿弥マシン」としてリングに立っている。

 このドラマが凄いのは、何とも秀逸な「介護ドラマ」になっていることだ。クドカンは、本人や家族の思いはもちろん、「要介護」「要支援」といった規定から介護行為の実際までを、見る側を笑わせながら「普通のこと」として物語化していく。

 ずっと自宅で介護を受けてきた寿三郎だが、認知症が進んだこともあり、グループホームに入った。複数の他人と暮らす生活は寿三郎にどんな影響を及ぼすのか。観山家の面々だけでなく、見る側にとっても興味深い展開だ。

 以前、さくらが言っていた。「介護にまさかはない」と。明日、自分や家族が直面するかもしれない問題の貴重なケーススタディーとして、最終回まで目が離せない。

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