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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」に出演中。

メディアが騒いでいる自民党総裁選挙とは「闇の金」が左右するイベントだ

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 では、何に使われているのか? 取材に応じた自民党関係者は、「幹事長のモチ代、氷代」と語った。「選挙の趨勢を決する資金」だという。もちろん、それは表に出せない。つまり買収に使われるということだろう。

 ちなみに、買収事件が発覚した19年の参議院選の直前だけで1億円超の資金が二階幹事長に流れている。今回の総裁選挙でその金を使うことも可能だろう。それ故に必ずしも大派閥の領袖ではない二階幹事長がキャスチングボートを握れるわけだ。

 自民党には多額の税金が入っている。政党交付金だ。19年では、党の収入の7割を占めている。自民党は二階幹事長に払った「政策活動費」は政党交付金からではないと説明している。

 しかし、財布は一つだ。納得できる説明ではない。つまり、メディアが騒いでいる総裁選挙とは「闇の金」が左右するイベントだとも言える。そして、どの候補もその問題には踏み込まない。少なからず恩恵にあずかっているからだろう。

 そういうシステムで選ばれたリーダーに国政のかじ取りが可能だろうか? 例えば、菅総理はある意味で最も恵まれた総理だった。すべきことは明確だった。国民の命を守る。そして財政均衡など考えずに国債を発行して税金を使えた。その結果、国会に諮らずに使える30兆円もの予備費を手にした。しかし、それを有効に使うこともできず、国民の命を守ることも十分にできなかった。

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