松井秀喜の巨人監督就任を知っていても書かないスポーツ紙。あのスポニチの“勇気”はいずこへ…
松井の最大の「監督就任障壁」であった子育てが一段落したこと。次期監督として、原辰徳や高橋由伸、川相が挙がっていたが、最有力とみられていた高橋に鷲田が聞いてみると、「松井さんが先でしょう」と言ったという。さらに10月になっても巨人側が高橋に監督就任要請をしていなかった。さすれば「松井以外いない」という結論に至ったというのである。理詰めのスクープである。
凡庸なプロ野球担当記者のなかにも、こう推理していた者はいたはずだ。しかし、記事にすれば巨人軍フロントの怒りを買い、取材拒否や記者クラブからの排除というペナルティーを受けるのを恐れ、書けなかったのだろう。新聞、テレビの劣化の象徴のようなスクープである。
思い出したのは、長嶋監督が突然、解任された1980年のシーズンオフのことだ。スクープしたのは巨人御用達の報知ではなくスポニチだった。長嶋本人も新聞を見て知ったといわれた。スポニチの“勇気”が称賛され、巨人の“無慈悲”さが際立ったスクープだった。
12年後に監督復帰した長嶋は、ダイエー・王貞治監督との日本シリーズ(2000年)を制して日本一になった。日本中がON決戦に沸き、MVPに輝いたのは松井だった。


















