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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

急増する乳がん 罹患率3倍、死亡率1.6倍が意味すること

公開日: 更新日:

■出産数の減少も影響か

 とはいえ、新規がん患者に占める上皮内がんの割合は十数%に過ぎません。大半が浸潤がんと診断されています。

 1985年を起点にして計算した年齢調整罹患率(高齢化の影響を除いた罹患率)は、過去30年間で約3倍に増加しています。ただ、年齢調整死亡率は約1.6倍しか増えていません。それだけ「乳がんの治療技術が向上し、生存率が高まった」という見方もできますが、これほど患者が増えたことのほうが、もっと不思議です。

 原因としては、出産数の低下がもっとも有力視されています。出産経験がない女性の乳がんリスクは、出産経験済みの女性と比べて1.2~1.5倍ほど高いことが、多くの疫学的研究で明らかになっています。日本人の合計特殊出生率は1985年で1.76でした。それが2015年には1.45にまで下がってきています。乳製品もリスク因子に挙げられています。

「乳製品の消費が増えたから乳がんが増えた」と説明されています。しかし本当に納得のいく原因は、まだ明らかになっていないようです。

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