著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

急増する乳がん 罹患率3倍、死亡率1.6倍が意味すること

公開日: 更新日:

 女性では乳がんが急増しています。新規患者数は女性の第1位。2012年の統計で8万2773人、15年には8万9000人から9万人に達したと推定されています。

 ちなみに、女性の2位は胃がん(12年の統計で約4万1000人)、3位は結腸がん(同約4万人)でした。

 ただし、この数字には「上皮内がん」も含まれています。乳がんは大きく「浸潤がん」と「上皮内がん」(非浸潤がん)に分けられます。乳がんの多くは乳腺で発生します。乳腺は細い管状の組織で、これを通って乳が出てくる仕組みになっており、内側が「粘膜上皮」に覆われています。ここでがんが発生するのです。

 がんがまだ上皮にとどまっている状態が上皮内がん。切除してしまえば、再発も転移もほとんど心配ありません。ただし乳腺はごく細い組織なので、内視鏡手術は行えません。そのため乳房の部分切除、ないし全切除になってしまいます。

 ところが、民間のがん保険の多くは上皮内がんを保障の対象から外したり、給付金を減額したりしています。乳房を失って、しかも保険が下りなければ、それこそ踏んだり蹴ったり。がん保険を巡るトラブルの最大の原因になっています。

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