著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

膵臓がん手術を受ける患者は5割に満たない

公開日: 更新日:

 膵臓はナスのような形の長さ15センチほどの臓器。胃と背骨の間にひっそりとおさまっています。ナスのヘタの方(膵頭部)は十二指腸に囲まれており、膨らんだ方(膵尾部)は胃の左裏側で脾臓と接しています。また、その中間部分は「体部」と呼ばれます。消化酵素とインスリンの生産を行っている臓器です。

 手術は切除する範囲によって大きく4種類あります。がんが膵頭部にとどまっていれば「膵頭部腫瘍切除」、膵尾部側にあれば「膵体尾部腫瘍切除」。膵頭部切除では隣接する十二指腸まで切除することがありますし、膵体尾部切除では脾臓も一緒に切除することがあります。また、膵臓を完全に切り取る「膵全摘術」も行われています。手術の大半は開腹で行われており、腹腔鏡手術は膵体尾部切除の一部を占めるだけです。

 2014年度の手術件数と新規患者数(2012年)、死亡数(2015年)を〈表〉にまとめました。それぞれ集計時期が異なっていますが、おおまかな傾向をみるには、これで十分です。

 特徴のひとつは、新規患者数に比べて手術件数が少ないことです。男性患者の48%、女性患者の35%しか手術を受けていない計算になります。膵臓がんは発見が難しいため、見つかったときには手術ができない状態(周辺臓器に浸潤・転移している状態)であることが多いのです。しかし、手術以外に根治が期待できる治療法はありません。手術が受けられなければ、膵臓がんで早晩亡くなることを意味します。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  5. 10

    中山美穂さんが「愛し愛された」理由…和田アキ子、田原俊彦、芸能リポーターら数々証言