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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

相次ぐ若年性乳がん 「トリプルネガティブ」でも諦めない

公開日: 更新日:

 野球ファンならご存じでしょう。中日森繁和監督(62)の長女・矢野麗華さんが7日に乳がんで亡くなったことです。35歳という若さで長女を失った翌日のミーティングでは、「一人になると、つらくなる。ユニホームを着て一緒にやらせてくれ」と語り、志願の采配。通夜が営まれた13日も、2回までヤクルト戦の指揮を執ってから会場へ。その姿には、ファンならずともエールが送られました。

 先日、乳がんで亡くなった小林麻央さんは、享年34。若くして乳がんで命を落とす方が相次いでいます。若年性乳がんについて考えます。

 おふたりがそうだということではありませんが、若年性乳がんには「トリプルネガティブ」と呼ばれるタイプがあります。ネットなどでは、“性質の悪いがん”などと書かれることがありますが、必ずしもそうではありません。

「トリプルネガティブ」には、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの2つの受容体とHER2遺伝子がありません。“ない”ものが3つだからトリプルネガティブです。

 女性ホルモンの受容体があれば、ホルモン療法が効きますが、ないので効きません。がん細胞の増殖に関わるHER2があれば、そこを標的にする分子標的薬のハーセプチンが効果的ですが、これも期待できません。

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