著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

大橋純子さん公表の食道がん 化学放射線療法なら通院でOK

公開日: 更新日:

 しかし、仕事をすべてキャンセルして治療するのは、必ずしも賢明な選択とはいえません。がんと診断されて1年以内は自殺リスクが急増。そうでない人に比べて、24倍に上ります。孤立すると冷静な判断ができにくくなりますから、「がんでも仕事を辞めない、辞めさせない」がとても重要です。

 厚労省研究班の調査によると、がんになると、サラリーマンの30%が依願退職。辞めた人のうち5人に2人は、治療が始まる前に辞表を出しているのです。告知のショックから「がんでは、仕事ができない」とあきらめてしまうのでしょう。あきらめが、自殺につながると考えられます。

 負の連鎖を断ち切るには、仕事を続けながら周りに囲まれて生活するのが一番。仕事と治療の両立が大切なのですが、「がん対策に関する世論調査」によると、両立が難しい理由として、22%が「職場が休みを許すか分からない」を挙げています。

 治療とはいえ、仕事を休んで職場に迷惑をかけてしまった……。そんな後ろめたさが、がん患者を辞職に駆り立てるのかもしれませんが、治療と仕事は両立できます。そのためには、治療法の選択が大きな意味を持ちます。特にカギを握るのが放射線です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」