<5>年寄りにがんが多いのはなぜか?(2)

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「がん組織には、がん細胞とがん組織の間にあってがん細胞を支援する“がん微小環境”というものが存在することがわかっています。これは線維芽細胞、炎症細胞、免疫細胞、血管、リンパ管から構成され、がん細胞が生きていくうえでは欠かせません。細胞老化した細胞が重なりあった箇所ががん微小環境になっている可能性があるのです」(一石教授)

 実は肥満にがんが多いのはこのがん微小環境システムが関係しているのだという。

「高脂肪食を食べさせたマウスは各所で、細胞周期を停止させる働きがあるP16やP21遺伝子の発現が強まっていることが確認されています。肥満になると細胞周期がストップした細胞老化の細胞が増えてSASP作用を起こし、がん微小環境をつくっていると考えられるのです」(一石教授)

 実際、肥満によって増加した腸内細菌の代謝産物であるデオキシコール酸が腸肝循環によって肝臓に達し、肝星細胞が細胞老化・SASPを起こして肝がんを促進させるがん微小環境がつくられることがわかってきたという。

 これは診療現場においても、高度脂肪肝では胆汁鬱滞の指標であるALPやγ―GTPが高値になりやすく、このような脂肪肝は肝硬変から肝臓がんになりやすいことが既に分かっている。最近肥満や脂肪肝からの肝臓がんが増えている機序がこれで説明できるだろうと考えられるという。

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