オプジーボでも話題 免疫チェックポイントが注目されるわけ

公開日: 更新日:

 私たちはウイルスや細菌などの異物を免疫細胞で認識・排除することで健康を維持している。

 その一方で、免疫細胞が自分自身の細胞を攻撃しないため「免疫寛容」と呼ばれる仕組みがある。

 例えば、異物のみを認識・記憶して適切に攻撃するT細胞は、T細胞がつくられる胸腺で選別される。自分自身の細胞を攻撃しかねない自己反応性T細胞を細胞死(アポトーシス)させるためだ。

「負の選択」と呼ばれるこのシステムは、自分自身の細胞に多少の変異があっても、寛容な態度を取り続けるT細胞だけを生き残らせる。そうでなければ、免疫細胞が自分の細胞を異物と認識して攻撃し、アレルギーや関節リウマチなど慢性的な自己免疫疾患を引き起こす。国際医療福祉大学病院内科学の一石英一郎教授が言う。

「しかし、このシステムも完全ではありません。そのため自己反応性T細胞や過剰に活性化したT細胞を抑え込むための、別の仕組みが用意されています。そのひとつが免疫チェックポイント機構です。この機構に関わる分子のことを免疫チェックポイント分子と言い、最初に発見されたのがCTLA―4です。この分子は免疫のブレーキ役で、これまでに複数の種類が見つかっています。ノーベル医学生理学賞の受賞で話題のオプジーボという薬は、PD―L1やPD―1などの免疫チェックポイント分子に作用する薬なのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い