早期乳がんの再発予防に抗がん剤治療の追加は必要か?

公開日: 更新日:

 つまり、はっきりとルミナルAならホルモン療法、はっきりルミナルBなら抗がん剤追加となるが、どちらがいいとも言えない中間帯があり、“抗がん剤が本当に必要かは分からないが、副作用に耐えながら抗がん剤治療も受ける”といった状況だった。冒頭の大規模前向き臨床試験では、その“中間帯”の治療に答えが出た。

■確証を持って治療に進める試験結果

 試験に使用されたオンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、独自の計算式などで乳がんの再発リスクの高さを0から100で示す。これを「再発スコア(RS)」といい、数字が大きいほどリスクが高い。

 大規模前向き臨床試験でまず明らかになったのは、①RSが小さい(0~10)とホルモン療法だけでOK②RSが大きい(26~100)とホルモン療法に抗がん剤も追加。

 そして、中間帯のRS11~25を「ホルモン療法だけ」と「抗がん剤追加」に分けて調べたところ、全ての評価項目で結果は同じだった。要は、ホルモン療法に抗がん剤を追加してもしなくても、再発リスクは変わらない。RSが中間であれば、抗がん剤の副作用に耐えなくてもいいのだ。

 世界的に広く利用されている診療ガイドライン「NCCN」では、すでにオンコタイプDX乳がん再発スコアの使用を「強く考慮」としている。日本で実施経験のある医療機関は全国300以上だが、高額な検査ということもあり、普及まで時間がかかりそうだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?