著者のコラム一覧
平山瑞穂小説家

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

インスリン投与から食事までの30分で低血糖起こし意識障害

公開日: 更新日:

 僕が現在使用しているインスリンは「超即効型」と呼ばれるもので、食事開始の直前に打てばいいとされている。これは投与と食事の間に時差が生じないので、低血糖のリスクもほとんどない。

 以前は、食事の30分前に打つ「即効型」を使っていたのだが、その頃にはいろいろと苦労があった。その30分の間に、予想より早くインスリンが効きすぎて、低血糖に陥ってしまうケースがざらにあったのだ。

 当時はさまざまな理由からインスリンの量をだいぶ増やしていたので、おそらく、それまでに打った分の効能がまだ残っているところに上乗せするような形になっていたのが原因だろう。

 夕食は通常、妻が作り、あと30分で出来上がるというタイミングで声をかけてくれる。そこで僕がインスリンを打つのだが、いざ食事が出来上がる頃には、僕が自室で低血糖による意識障害を起こしていた、といったことがひと頃続いた。

 それを避けるために妻が一計を案じ、「インスリンを打ってから食事が始まるまでの間は、僕は妻の目の届くところにいるようにする」というルールができた。そうすれば、僕に低血糖の兆候があるかどうかを、妻が食事の準備をしがてら見守ることができる。僕が低血糖でおかしくなっているかどうかは、会話での受け答えでも分かるし、妻に言わせれば、表情を見るだけでもだいたい分かるのだそうだ。顔の筋肉がこわばっている感じがするのだという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋