広がる治療の選択肢「潰瘍性大腸炎」で知っておくべきこと

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 ところが、患者数は増えていても、潰瘍性大腸炎を専門に診ている医師が増えているわけではない。つまり、下痢や粘血便から潰瘍性大腸炎と診断されても、“ベストの治療”を受けられているとは限らない。

「厚労省は、専門病院で潰瘍性大腸炎の診断がついたら、その後の治療はより身近な一般的な病院で受けるのが望ましいとしています。しかし、胃腸を診る消化器内科医でも、消化器がんや肝臓を専門にしていれば、潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患の適切な治療は難しいのです」

 その大きな理由が、潰瘍性大腸炎の治療の選択肢が増えたこと。20世紀はステロイドなどが中心で治療が遅々として進まなかった。21世紀に入りさまざまな薬が承認。特に2010年以降、炎症を強力に抑えられる生物学的製剤が次々と登場し、16年からは毎年、いくつもの薬が承認されている。今年も新たな薬が登場する予定だ。この複数ある薬の中から、患者にとってよりいいものを選んでいかねばならない。

■いまだに“古い治療”が一般的に行われている

 しかし、専門医以外が治療選択の参考にする治療方針では、いまだに「ステロイドが重要な役割を示す」としている。実際、ステロイドの全身投与はよく効く。アメリカのデータでは、ステロイド全身投与で30日後、8割に効果が出た。

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