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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

サラバ人並み 遺伝子分析で始まる個別化「医療」と「栄養」

公開日: 更新日:

 20世紀は「普通」「人並み」「平均的」であることを良しとする時代でした。その意味で「統計の世紀」だったのです。医療や健康分野では、それがとくに重視されてきました。血圧が人並みから外れていれば、ただちに病気(高血圧ないし低血圧)と診断されてしまうといった具合です。

 統計を重視する医療は、現在では「標準治療」などと呼ばれていますし、実際に多くの患者がそれで救われています。ただ人間は誰しも少しずつ違うため、なかには標準治療が効かない人もいるわけです。統計に基づく医療の限界です。

 この限界を超えるために提唱されたのが「個別化医療」、つまり患者一人一人の個性に合った医療を行っていこうということです。折しも今世紀に入ってすぐに、人間の全遺伝子(ゲノム)解析が完了しました。身体的な個性は、ゲノムによって支配されているはずです。また装置やソフトウエアの改良によって、個人のゲノムをいまでは数万円で解読できるまでになっています。個別化医療を実践する環境が、一気に整ってきたのです。

 そんななかで、がんの遺伝子検査が今年から健康保険の適用になりました。標準治療では効果が出ない患者のゲノムを解析し、最適な治療法を見つけようというのです。もちろん検査したからといって、全員がうまくいくとは限りませんが、何割かは助かるだろうといわれています。

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