著者のコラム一覧
関由佳医師・料理家

専門は内科、予防医学。2013年ニューヨークの料理専門学校(Natural Gourmet Institute)で資格取得。著書に「毎日食べたい!腸活みそレシピ」ほか

きのこのみそスープ 疲労回復効果、動脈硬化や心筋梗塞予防に最適

公開日: 更新日:

 東日本大震災から丸9年。当時、東京に住んでいた私は、体験したことのない強い揺れ、刻々と伝えられる津波や原発事故の被害の甚大さに言葉を失いました。

「人間、いつ死ぬかわからない。悔いのないように生きよう」

 そう実感しました。目指したのが料理人の道です。医学生時代から医師になるか、シェフになるか迷うほど私は料理好きでした。もちろん、医師をやめるわけではありません。

「食べもので健康な心と体をつくるドクター&シェフ」として予防医学の道を目指したのです。そして、栄養学をベースとしたニューヨークの料理学校の存在を知り留学しました。そこで、玄米や、全粒粉の小麦を主食とし、野菜、豆、海藻などを副食とするマクロビオティック、インド大陸発祥の医学であるアーユルヴェーダ、動物を摂取しないビーガニズム、さらにそれらに基づいた調理法を学びました。

 そして、みそに出合ったのです。学校には赤みそ、白みそ、ひよこ豆のみそが常備してあり、さまざまなレシピにコク出しとして使用していました。また、あるワークショップでみそ造りを体験しました。あらためて、みその材料と作り方のシンプルさに驚かされました。以前から発酵食品やみその素晴らしさも知っていましたが、その本場日本で生まれ育った私が、異国の地で、みその魅力を再認識させられたわけです。

 栄養療法にもみそは最適の食品です。人間の生命活動に欠かせない必須アミノ酸やビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富で、さらに健康生活のカギを握る腸内環境を整える善玉菌や食物繊維も含まれています。

 さらに発酵・熟成という過程を経ることで、メラノイジンなどの抗酸化物質も産生されます。多くの現代人は慢性的なミネラル、ビタミン不足、ストレスなどで消化力が落ちています。みそはそんな現代人にとって、まさに「食べるサプリメント」といってもいいほどのスーパーフードなのです。

 今回は「きのこのスープ」。しめじなどのきのこ類は、現在ではいつでも手軽に手に入ります。味も食感も楽しめる食材です。

 低カロリーのうえ、コレステロールの上昇を抑える食物繊維、また疲労回復に効果のあるリジン、動脈硬化心筋梗塞などの生活習慣病を予防するグアニル酸も豊富です。

 中高年男性にとっての必須食材ともいえそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり