体温を下げない冷感グッズは熱中症リスクをむしろ上げる

公開日: 更新日:

■メントールによる「錯覚」危ない

 たとえば、ハッカ油などのミントが使われている商品は、含まれる「メントール」という物質が冷たさを感じる神経を刺激し、温度変化を感じたときと同じ作用が起こって冷たく感じる。メントールが含まれている冷却スプレーや冷却材も同様だ。

「しかし、メントールによって感じる冷感はいわば錯覚で、実際に体温を下げているわけではありません。暑い環境でそれらの冷感グッズを使って脳が『冷えた』と誤解すると、汗をかいて体温を下げるシステムを止めてしまう上、逆に汗腺を収縮させて体温を上げようとするケースも考えられます。すると、体内に熱がたまり続け、むしろ熱中症を引き起こす原因になってしまうのです」

 額に貼る冷却シートは、ジェルに含まれる水分が蒸発する際の「気化熱」によって、接している部分の温度を下げる。

「ただし、あくまでも限られた部分の温度が一時的に下がるだけで、深部体温までは下げられません。局所を冷やす氷枕も同じです。熱中症の予防では、水分補給のほかに深部体温=脳を冷やすことが重要になります。ですから、熱中症の症状が出た場合、首筋や脇の下など太い血管が通っている部分を冷やすことが常識になっています。全身を流れる血液を冷やすことで深部体温=脳を冷やすためです。冷却シートを額に貼っても脳までは冷えませんし、タオルやスカーフの冷却効果は短時間で持続性がありません。いずれも深部体温を下げる効果までは期待できないと考えていいでしょう」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」