著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

画像認識AIの活用によって薬剤師の調剤エラーがなくなる

公開日: 更新日:

「AI」(人工知能)と聞くと、さまざまなことに対し人間に代わって最適の回答をしてくれるロボットのようなものとイメージされることが多いのではないでしょうか。医療でいえば、勝手に患者をスキャンして診断し、最適な治療法を提案してくれるようなシステムを想像されがちですが、それは大きな誤解です。

 実際には、AIはとても細分化されていて、人間と同じようにいろいろな事象に対して判断ができるわけではありません。ただ、特定の作業タスクに対しては、人間を超えるケースもありえます。「シンギュラリティー」という言葉で表現されますが、例えば囲碁やチェスの対決でAIが人間に勝つといったように、AIが人間の知能を上回って最適の答え(解)を導くというものです。

 細分化されたAIの種類のうち、画像認識のAI開発は医療の分野でも進んでいます。画像認識AIとは、「画像データを学習させ、ある画像データを与えたときにそれが何なのかを学習データと照合し、自動で識別してくれる」といったプログラムです。

 薬剤師の仕事においても、この画像認識AIが活躍するシーンがいろいろ考えられます。例えば、調剤後確認業務や錠剤の鑑別業務に有効でしょう。写真をスキャンすると薬の種類や個数を自動で判別してくれるうえ、たとえ複数の種類がごちゃ混ぜであっても、しっかりと判別可能です。AIの活用で、調剤時の薬の選び間違いや個数の間違いといったこれまでなかなか減らすことができなかった調剤エラーをなくすことができるのです。

 これは、画像認識AIの活用による薬剤師の業務の安定化を通して、より安全に医療を提供できるようになっていくであろうという一例です。すでに開発されているシステムなので、今後、導入が進んでいくのは間違いないでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃