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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

進化した大腸内視鏡検査を受け研修医時代と恩師を思い出す

公開日: 更新日:

■グラスファイバー製の開発で苦痛が激減

 実はその頃を前後して、内視鏡は鋼製ではなくグラスファイバーが使われるようになり、患者の苦痛は激減し、検査法も大きく進歩しました。

 大腸検査では当時、弘前大学の内科に所属していた田島強医師らの努力がとても大きかったと思います。田島医師は、交通の便が悪い弘前の田舎から、何時間もかけて東京の内視鏡を製作する会社に何度も出向き、1969年にとうとう大腸ファイバースコープを開発しました。世界で初めて回盲部を内視鏡で見ることに成功したのです。

 田島医師のところには、その技術の教えを請う医師が全国から集まりました。当時の私は同大学を卒業したばかりで、研修医を務めていました。夕方の検査が終わって夜8時すぎになると、弘前の土手町に足を運び、田島医師と一緒に安い酒場で飲みながらさらに教わり、夢を語り合いました。

 医局に入った若手の中に夕方早く帰宅する者はいませんでした。医局の長椅子に離れて座っていても、夜、医局にいること、先輩たちの雑談を聞いていること、それらすべてが良きにしろ悪しきにしろ勉強でした。そんな中で、学会発表のスライドの作り方や論文の書き方なども教わりました。時代とともにこのような勉強方法(?)は敬遠されるようになりましたが、私にとってはとても有意義な時間でした。

 内視鏡検査は、今ではAI(人工知能)が技術を補助し、さらに正確な診断にICT(情報通信技術)が加わるといった時代になりつつあります。

 より苦痛がなく、より正確な診断を目指し、内視鏡検査はまた大きく変わろうとしています。

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