著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」名誉院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

名画「愛と哀しみの果て」では語られなかった主人公の感染症

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 ただし、サルバルサンは副作用が強い、という欠点がありました。そのためすぐにネオ・サルバルサンが作られ、梅毒治療が進むようになります。1928年にペニシリンが発見され、動物実験を経て抗菌作用が1940年に発表され、1942年にベンジルペニシリンが実用化されるまでは、サルバルサンが梅毒の標準的な治療薬だったのです。

 年代から考えれば、カレンがサルバルサンを使っていた可能性はあります。ただ当時の状況を考慮すると、性感染症を患ったとはいえ男爵夫人が簡単に治療に向かうとは思えません。その後、ペニシリンを使ったことも考えられますが、治療の遅れから効果が出なかったのかもしれません。

 結婚した男性は、よそで性感染症をもらうと妻にうつす可能性が高く、その場合は妻に大きな負担をかける。場合によっては妻のその後の人生をメチャクチャにする場合だってある。そのことを自覚しておくべきでしょう。

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