著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

小さな問題も徹底して対策する「KAIZEN」プロジェクト

公開日: 更新日:

 その他にも、患者さんの家の中に持って入る往診用バッグを、汚れる地面には直接置かないことも徹底しました。

「いずれも大した問題じゃないのでは」と思うかもしれません。しかし、「ハインリッヒの法則」というものがあります。1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故が隠れ、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常が隠れているという意味。日々、柔軟な対応が求められる在宅医療の現場では、軽微なミスも見過ごせないのです。

「改善」を学ばせてもらった患者さんがいました。72歳の独居女性で、胃がん末期の方です。

 ご本人は1年ほど前まで近くのクリーニング店に元気にお勤めしていましたが、胃がんが判明。発症後は退職し、買い物だけはヘルパー同行で行っていました。しかし、ついに入院となり、その後は在宅医療へ。2人のお子さんはすでに成人。長女には2歳と7歳の女の子のお孫さんがいて、自宅に近い職場にいる長男が時々見舞うという状況でした。

 人見知りする方で、最初は拒否される内容も多かった。しかし、担当の医師とスタッフを固定したり、玄関のカギを入れるキーボックスを設置したり、見失ってはいけない在宅医療関連の薬剤などを冷蔵庫に入れたりするなど、この方が過ごしやすくなるための改善を実施しました。

 その間には念願だったお孫さんとの映画観賞も実現し、在宅医療を開始してから約半年後、ご家族が見守る中、静かに旅立たれていかれました。

 このように患者さんの数だけ改善があるのが在宅医療なのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状