著者のコラム一覧
シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

米政府機関の「マスク義務付けは違法」判決で市民は大混乱

公開日: 更新日:

「連邦政府によるマスク義務付けは違法」というフロリダ州の連邦判事による判決で、アメリカ全土に混乱が広がっています。

 4月18日に出たこの裁定は、フロリダ州をはじめ20の保守州からの訴えに対して出されたもので、連邦政府機関であるCDC(米疾病対策センター)が、個人のマスク着用を強制する権限はないという判決でした。

 連邦制を取るアメリカでは、こうした生活に密着した規制は州政府に委ねられています。ニューヨークでも公共交通機関以外の屋内外でのマスク着用義務はなくなっていて、マスクを外すことも多くなっています。

 それでも市民を驚かせたのは、この判決を受け各航空会社が直ちに国内線フライトでのマスク着用義務解除を宣言したことです。背景には、パンデミック以来、激増した飛行機内でのトラブルがあります。マスク着用を求める客室乗務員を拒否する客が殴る、口論になるなどの事象が2021年だけで約6000件も起きていました。

 今回の解除でトラブルの減少が期待されているものの、客室乗務員からは不安の声も上がっています。オミクロンBA株による感染がジリジリと上昇しているからで、世論調査でもアメリカ人の過半数はまだ空の旅でのマスク着用は必要と答えています。

 混乱も生じています。フライトではマスクをする必要はなくても、たとえばニューヨーク州内の空港では着用は義務、市内の地下鉄も義務付けが継続されています。しかし、ヒューストンやアトランタなどの都市では義務付けは一切ありません。

 CDCは「マスクを外すのは時期尚早」と改めて強くアピールするとともに、司法省はこの判決を不服として上訴しました。新たな判定が下るまではこれまでの義務付けが延長されることにもなり、一体、今マスクを着けるべきなのか外すべきなのかという混乱はさらに広がりそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず