著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

胆のうの病気と薬との関係 糖尿病薬で胆のう炎リスクが40%上昇

公開日: 更新日:

 胆のうというのは、脂肪を消化する胆汁をためておく袋のような臓器です。食事をすると胆のうはキュッと縮んで、胆汁が十二指腸に排出され、食事と混ざり合って脂肪を消化します。胆汁は非常に濃厚なので、固まりやすい性質を持っていて、固まって石のようになったものが胆石です。石が出来て胆汁の流れが悪くなると、そこで細菌が増殖して炎症を起こします。それが胆のう炎です。

 胆石症や胆のう炎になると、食後に激しい痛みが起こり、寒けや高熱が出ることもあります。肥満や脂肪の取り過ぎは、こうした胆のうの病気の原因として有名ですが、忘れてならないのは薬の影響です。じつは多くの薬が胆のうの病気の原因になります。

 抗菌剤は胆のう炎の治療薬ですが、「セフェム系」と呼ばれる抗菌剤のうちの1種類で、一時的な胆石症が起こることが報告されています。また、今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、糖尿病の治療薬と胆のう炎との関係が報告されて注目を集めています。これはDPP4阻害剤という広く使用されている糖尿病の飲み薬で、これまでのデータを分析すると、40%以上も胆のう炎のリスクを高めると報告されています。

 実際には多くの薬が胆のうの働きを低下させる可能性があるので、薬を飲み始めてからのお腹の痛みは、胆のうの病気を、一度は疑う必要がありそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった