著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【水虫】ステロイドの塗り薬を使って悪化するケースがある

公開日: 更新日:

 先日、誤った治療によって症状が悪化してしまった水虫の患者さんを見かけました。水虫は、白癬菌という真菌(カビ)に感染することにより発症する皮膚疾患です。以前にもお話ししたように、抗真菌薬の軟膏や飲み薬を用いて根気強く治療する必要があります。

 その患者さんは、水虫に対する薬の使い方でよくある間違いをおかしていました。足の指がかゆいということから、自宅にある塗り薬をずっと塗り続けていて、その塗り薬は副腎皮質ステロイドが含まれている軟膏だったのです。

 副腎皮質ステロイドはステロイドホルモンとも呼ばれていて、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。副腎皮質ステロイドを薬として使用すると、体の中の炎症を抑えたり、免疫力を抑える作用があり、さまざまな疾患の治療に使われています。市販もされているため、自宅にステロイド含有の軟膏を常備している方も非常に多いようです。

 しかし、免疫を抑えるということは、感染症にとっては良くない事象が起こる可能性があります。副腎皮質ステロイドを皮膚に塗ると皮膚の炎症は抑えられるのですが、同時に免疫を抑えることにより、水虫の原因である白癬菌が増えやすくなってしまうのです。白癬菌が増えると、結果的に症状は悪化してしまいます。ほかにも、状況によっては使用する場合もありますが、「とびひ(伝染性膿痂疹)」など細菌が原因の皮膚疾患では、ステロイド含有軟膏で免疫を抑えてしまうと悪化する可能性があります。

 また、使いかけの軟膏薬をずっと保管しておくのはNGです。細菌が付着している手で触った軟膏の長期間保存は衛生的に問題があるといえます。

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