著者のコラム一覧
森大祐整形外科医

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

肩の治療の選択に迷った場合は経験者の話を聞くのがベター

公開日: 更新日:

 18歳の男子学生が、肩の脱臼で私の外来を訪れたときのお話をしたいと思います。

 彼はK大学のテニス部に属しており、それまで計8回の脱臼を経験していました。診察時、最善の治療法として提案したのが手術です。以前、本欄でも紹介しましたが、脱臼は何度も繰り返し、特に活動性が高い若い男性はその傾向が強いからです。「脱臼8回」ということがまさに、それを表しています。

 しかし、男性は首を縦に振りません。「脱臼の根本的治療は手術だけ」と説明し、再発の高さを過去の研究結果から数字で示しても、「手術は嫌。しかし、肩の脱臼は治したい」の一点張りです。

 私が常々思っているのは、患者さんが医師側の提案をかたくなに拒否する場合、その深層心理に何があるのかを読み解くことが非常に重要である、ということ。それを無視して「◎◎という治療法がいい」と述べても、一方通行になってしまいます。

 よくよく話を聞くと、その男子大学生は、手術でどれくらいよくなるのかに、まず関心があった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理