著者のコラム一覧
王瑞霞医学博士、中医師、鍼灸師

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。中国山東中医薬大学卒業。中国北京中医薬大学大学院修了。日本大学医学部医学博士。鍼灸師、登録販売士。

滋養強壮に効く漢方薬はある? 「補中益気湯」が代表格

公開日: 更新日:

 代表的なものを挙げるなら、「補中益気湯」という漢方薬になります。日本でよく知られている漢方薬の一つではないでしょうか。体の真ん中に位置する脾胃(胃腸)の働きを補い、気のパワーを益す。そんな働きから、この漢方薬の名前ができています。

 補中益気湯を構成するのは10種類の生薬。中心となるのがマメ科植物の黄耆です。黄耆の特徴は、まず体の真ん中にある脾胃の気を補う。次に、体のバリアー機能に関わっている肺の気を補う。そして、パワーダウンにより沈下してしまった気を上へ持ち上げる性能を持ち合わせています。虚弱体質や病後の衰弱、食欲不振、胃下垂、慢性的な下痢、低血圧などに処方されるほか、風邪をひきやすいといった体質改善にも用いられます。また、がんの患者さんにおいては、抗がん剤や放射線療法による副作用の軽減にも有効です。

 さらに最近、こんな研究結果が注目されています。それは、補中益気湯が免疫に関わる細胞(NK細胞やマクロファージなど)の活性化を促し、免疫力を高めるというもの。今年はインフルエンザの流行が例年よりも早く始まっていますが、高齢者など免疫力が弱い方は、ワクチン接種に加え、補中益気湯を服用するのも手です。実際、予防医学として補中益気湯を処方する医療機関もあります。

 コロナ感染者に接触する機会が多い医療従事者に補中益気湯と葛根湯を服用させたところ、血液検査で免疫力が上がり、コロナ感染を予防した可能性がある、といった報告もあります。

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