転機を迎えるがん温熱療法…ガイドライン出版で注目される9月の学会

公開日: 更新日:

 日本人の3人に1人はがんで死ぬといわれたが、2022年のデータでは日本人ががんで死亡する確率は男性が4人に1人、女性は6人に1人となった。その理由は画期的な治療法が生まれたからではない。手術抗がん剤、放射線といったがんの標準治療の成績を高める医療技術の結集=集学的治療に成功したからだ。そのひとつとして、近年注目を集めているのが「ハイパーサーミア(温熱)療法」だ。

 9月6日(金)・7日(土)に東京都江戸川区内のタワーホール船堀でがん治療の専門家などが集まる日本ハイパーサーミア学会第41回大会が開催される。昨年3月に日本初の「ハイパーサーミア診療ガイドライン」が刊行されたこともあり、23年ぶりの東京開催の同学会はがん治療専門医らから注目されているという。江戸川病院放射線科部長で大会長の黒崎弘正医師が言う。

「ハイパーサーミア療法は、がんの塊が42.5度以上の熱に弱いという性質を利用してがんを治療する方法で、対象となるがん種は幅広く、患者さんは治療器の中で寝そべるだけでよく、副作用も少なく何度でも受けられる通院可能な治療法です。1990年には公的保険の対象になり、さまざまながん種に対して優れた治療成績を残してきました。しかし、ガイドラインの整備が遅れていたため、がん治療専門医の間でも必ずしも周知された治療法とは言えませんでした。しかし、診療ガイドラインの刊行後は、最新のハイパーサーミア治療の成果が発表される学術集会に多くの医療関係者が注目しているのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する