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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

ウイルスが原因ではない肝臓がん…リスク判定検査と減酒の効果

公開日: 更新日:

 がんといっても、種類によって原因はさまざまです。そのうち肝臓がんは、7~8割をウイルス感染が占めています。C型肝炎ウイルスとB型肝炎ウイルスです。

 国立がん研究センターのコホート研究によると、肝炎ウイルスに感染している人の肝臓がん発症リスクは感染していない人に比べて約28倍。ウイルス別では、C型肝炎が約36倍で、B型肝炎が約16倍。C型とB型の両方に感染していると、約47倍です。重複感染のリスクについてはサンプル数が少なく、慎重な判断が必要ですが、それでもいずれかのウイルスに感染することのリスクの高さは歴然でしょう。

 これらのウイルスに感染したからといって、すぐ肝臓がんになるわけではありません。持続感染によってC型やB型の肝炎から肝硬変を発症。そこから肝臓がんになる流れです。ですから、ウイルス性肝炎の段階でウイルスを駆除する治療を受ければ、その後の悪化を食い止め、肝臓がんも防ぐことができます。実際、抗ウイルス薬によってウイルスをほとんど駆除できますから、肝臓がんは全体として減少傾向です。

 そんな中、増えているのが、ウイルス感染が原因ではない肝臓がんで、脂肪肝やアルコールを原因とするタイプです。メタボが社会問題となり、4人に1人が脂肪肝とされますから、今後要注意でしょう。

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