(2)早朝から深夜までの頻繁な電話…そしてある時

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 私にも仕事と生活があり、すべての電話の相手をするわけにはいかない。着信があっても無視することが増えていったが、そのうち着信音がするだけで反射的に吐き気を催すようになった。母の電話がかなりのストレスだったのだろう。

 母の話す内容はだんだん変化していった。「まだ私の頭がおかしくならないうちに言っておくけれど、これまでいいお母さんじゃなかったこと、ごめんね」「私はこのままおかしくなって死ぬのかもしれないね」「私はコロナにかかってしまったと思う。もうだめだね」

 そのうち、決定的な電話がかかってきた。

「M病院に今すぐ私を連れに来るように言って! 私をあそこに閉じ込めてもらって!」

 M病院は、古くから地域にある精神科の有名病院だ。電話の向こうから「あんたは何もおかしくなんかない! 病院は必要ない!」と怒鳴り散らす父親の声が聞こえてくる。

 ただならぬ異変だ。「母がおかしくなっているのではないか」というぼんやりとした不安が、いきなり現実になってしまったと思った。

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