(2)早朝から深夜までの頻繁な電話…そしてある時

公開日: 更新日:

 私にも仕事と生活があり、すべての電話の相手をするわけにはいかない。着信があっても無視することが増えていったが、そのうち着信音がするだけで反射的に吐き気を催すようになった。母の電話がかなりのストレスだったのだろう。

 母の話す内容はだんだん変化していった。「まだ私の頭がおかしくならないうちに言っておくけれど、これまでいいお母さんじゃなかったこと、ごめんね」「私はこのままおかしくなって死ぬのかもしれないね」「私はコロナにかかってしまったと思う。もうだめだね」

 そのうち、決定的な電話がかかってきた。

「M病院に今すぐ私を連れに来るように言って! 私をあそこに閉じ込めてもらって!」

 M病院は、古くから地域にある精神科の有名病院だ。電話の向こうから「あんたは何もおかしくなんかない! 病院は必要ない!」と怒鳴り散らす父親の声が聞こえてくる。

 ただならぬ異変だ。「母がおかしくなっているのではないか」というぼんやりとした不安が、いきなり現実になってしまったと思った。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトバンクに激震!メジャー再挑戦狙うFA有原航平を「巨人が獲得に乗り出す」の怪情報

  2. 2

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  5. 5

    維新の「議員定数1割削減」に潜む欺瞞…連立入りの絶対条件は“焼け太り”狙った露骨な党利党略

  1. 6

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  2. 7

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 8

    「これが寝るってことだ」と感激…女優の岡崎友紀さん変形性股関節症との苦闘

  4. 9

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  5. 10

    公然わいせつ容疑で逮捕→釈放も“連帯責任”…Aぇ! group草間リチャード敬太の芸能界復帰はイバラの道