著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

「オピオイド」は死期が近いケースで使われる…は大きな誤解

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 さて、みなさんは医療でオピオイドというと何を思い浮かべますか? おそらく多くの方が「がんに伴う痛み」に対して使われていると思うでしょうし、それで大きく間違ってはいません。一方で、がんはがんでも「死期が近いときに使われる」と考えている方も多いかもしれません。しかし、それは誤りです。

 がんによる痛みの治療は、がんのステージに関係なく行われます。なぜなら、痛みはわれわれにとってストレスでしかないからです。いきなりオピオイドが開始されることはまれですが、非オピオイド性鎮痛薬で効果が十分に得られない場合は、早期からオピオイドが併用される場合も十分にあります。ですので、オピオイド=死期が近いという考えは誤解だということをぜひ知っておいてください。

 ちなみに慢性疼痛に適応があるオピオイドもあり、がんでなくても処方されます。痛みはないに越したことはないので、場合によってはオピオイドをうまく利用していくことも重要なのです。

 少し余談になりますが、コデインリン酸塩もオピオイドに含まれますが、こちらは主にせき止めとして用いられ、含有量(濃度)が少ないものは市販のせき止めとしても使われています。オピオイドは意外と身近にあるんですよ。

【連載】高齢者の正しいクスリとの付き合い方

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