著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

飛行機の中で心臓を守るには持病や生活習慣病の管理が重要

公開日: 更新日:

 そこで、フライト中の飲酒が睡眠、酸素飽和度、心拍数に及ぼす影響を調べたところ、飲酒と低圧環境が重なると、睡眠中の酸素飽和度は85.32%に低下し、1分間の心拍数は87.73回に上昇していたといいます。さらに、酸素飽和度が90%未満の低酸素症の状態にあった時間は、低圧環境で飲酒して眠った場合は201.18分、低圧環境のみの場合でも173.28分と、非常に長くなっていることもわかりました。フライト中の低圧環境と飲酒が組み合わさると血液中の酸素量が低下し、若くて健康な人でも心拍数が上昇して心臓や血管への負担が大きくなり、低酸素症の状態が長く続くことが示されたのです。

 若く健康な人でもそうなのですから、心臓にトラブルがあって酸素を全身に送るポンプ機能が低下している人は、余計に酸素を取り込みづらくなり、それだけ心臓の負担が大きくなります。該当する人は、フライト中の飲酒は避けるなど細心の注意が必要です。

 ちなみに、大手航空会社では「航空機旅行が適さない状態」として、心不全、チアノーゼ心疾患(もともと低酸素状態の心疾患)、不安定狭心症、急性心筋梗塞(発症6週以内)を挙げています。これらの心臓病を抱えている人は、飛行機を利用した旅行は避けてください。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    ドラフト目玉投手・石垣元気はメジャーから好条件オファー届かず…第1希望は「日本ハム経由で米挑戦」

  3. 3

    ソフトバンクに激震!メジャー再挑戦狙うFA有原航平を「巨人が獲得に乗り出す」の怪情報

  4. 4

    米価暴落の兆し…すでに「コメ余り」シフトで今度こそ生産者にトドメ

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 7

    大富豪の妻と離婚でファン離れ? イケメン既婚者俳優ディーン・フジオカの気になる今後

  3. 8

    自民×維新は連立早々に“成田離婚”も? 政策も理念も、「政治とカネ」に対する意識も、政治姿勢もバラバラ

  4. 9

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  5. 10

    首相補佐官に就く遠藤敬氏に世間は「Who?」…維新の国対委員長が連立政権「キーマン」のワケ