著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

食道もすい臓も…がんリスクは歯周病でアップする

公開日: 更新日:

 歯周病は、細菌感染による炎症で歯茎が腫れて出血したり、歯茎の骨が溶けたりして、最悪の場合、歯が抜けてしまいます。口の中の病気ですが、最近はがんとの関係も明らかになっているのです。

 横浜市立大付属病院歯科・口腔外科・矯正歯科の研究グループは、口腔がん患者と前がん病変患者、口の粘膜に異常がない人を比較すると、口腔がん患者と前がん病変患者では歯周病の割合が高く、歯周病菌の量も多いことを発見したほか、マウスの実験で歯周病菌由来の毒素が前がん病変や口腔がんを促進することを突き止めています。

 同様の研究は国内外で行われていて、口腔がんと歯周病の関係はほぼ間違いありません。

 食道がんとの関係も指摘されています。米ハーバード大の研究グループは、女性の看護師5万人と男性の医療従事者10万人を20年以上追跡。歯周病ナシ・歯の欠損ナシのグループを基準として食道がんのリスクを比較すると、歯周病ナシ・歯の欠損アリで39%上昇。歯周病アリでは、歯の欠損の有無に関係なく59%も高くなっていたのです。さまざまな要素を考慮して解析した結果、歯周病は食道がんのリスクを全体で43%上げるとしています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった