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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

食道もすい臓も…がんリスクは歯周病でアップする

公開日: 更新日:

 同大の別の研究グループは、歯周病とすい臓がんの関係を調査。その結果、歯周病がない人に比べてある人は、すい臓がんリスクが6割ほど高いことが明らかになりました。グループによると、喫煙歴が一度もなくても、歯周病があると、すい臓がんリスクが約2倍になるそうです。こうした結果から口や消化器系を中心に歯周病菌とがんとの関係が深いことが見て取れるでしょう。

 一方、愛知県がんセンター研究所は口腔ケアや歯の本数と食道がんの関係について調べたところ、歯磨きが1日2回以上の人は1回の人と比べて食道がんリスクが3割低下。歯の数については減るほど食道がんリスクが増える傾向で、21本の人に比べて、1~8本は1.9倍、1本もない人は2.4倍でした。

 大腸がんについては横浜市立大の別のグループの研究で、大腸がんの発症や進行に関連する細菌が歯周病治療で便中から減少することが判明しました。

 歯磨きをはじめ口腔ケアをしっかりと行うことは、がん予防の点でプラスに作用することは明らかでしょう。もちろん発がんについては、飲酒や喫煙、食事運動などさまざまな要素が絡んできますが、口の中は清潔に保つことが一番です。私も食後に必ず歯を磨いています。

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