(18)ただ話を聞いてくれる人がいるということが大きな支えになった

公開日: 更新日:

 一方で、私の話を受け止め、静かに聞いてくれた友人たちもいた。しばらくは毎日、電話をかけてくれた人もいたくらいだ。それがどれほどありがたかったことか。きょうだいも夫も子もいない私に、ただ話を聞いてくれる人がいるということが、とても大きな支えになったのだ。

 誰にでも訪れる可能性のある親の介護だが、始まるまでは実感するのがとても難しい。介護はある日突然始まり、戸惑ってしまう人も多い。パニックになってしまうこともある。そんな時に、誰を、何を頼りにすることができるだろうか。

 私のたどり着いた答えは、できるだけ正しい情報と、経験者の友人だ。今、渦中に放り込まれつつある友人たちから、「実は……」と相談されることが増えてきた。せめてできることとして、話を聞いたり、体験を話したりしている。それが、何もわからずストレスに押しつぶされそうになっていた時の自分へのなぐさめにもなっている。(つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行

  3. 3

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  4. 4

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  5. 5

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  1. 6

    「戦隊ヒロイン」ゴジュウユニコーン役の今森茉耶 不倫騒動&未成年飲酒で人気シリーズ終了にミソ

  2. 7

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  3. 8

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 9

    志茂田景樹さんは「要介護5」の車イス生活に…施設は合わず、自宅で前向きな日々

  5. 10

    NHK大河「べらぼう」に最後まで東洲斎写楽が登場しないナゼ?