著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

「食品」ではなく「医薬品」として分類される栄養剤がある

公開日: 更新日:

「栄養剤」というと食品のイメージがあるかと思います。しかし、種類は多くはないものの、じつは医薬品に分類されるものもあります。

 高齢で十分な栄養を食事で取れなくなった場合や、食べ物が食道ではなく気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)のリスクが高い場合に胃瘻(いろう)や腸瘻、経鼻といったチューブを介して栄養を投与するケースがあり、その際に用いられるのが「経腸栄養剤」です。今回はこの経腸栄養剤に関してのお話です。

 経腸栄養剤は主に窒素源の種類によって大きく3種類に分類されます。窒素源がタンパク質のものを「半消化態栄養剤」、アミノ酸がいくつかひっついたペプチドのものを「消化態栄養剤」、アミノ酸のみのものを「成分栄養剤」といいます。

 食事で取るタンパク質は消化されるとペプチドやアミノ酸に分解されるので、人工的に消化された状態にしたものが後の2つになります。そのため、消化機能が低下している場合や、腸瘻などで胃を通過しない場合には、消化態栄養剤や成分栄養剤が選択されます。

 経腸栄養剤の多くは医薬品ではなく食品に分類されます。医薬品の場合は世に出るまでに臨床試験を行う必要があって時間とお金がたくさんかかりますが、食品ではその義務はありません。そのため、食品に分類される経腸栄養剤のほうが圧倒的に種類も豊富で、含有される成分もバラエティーに富んでいます。味に関しては個人の好みがありますが私としては食品に分類されるもののほうが口に合うものが多いように感じています。

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