いまの若手外科医は「投げっぱなし」か「すぐ手術したがる」パターンが増えている
■患者もすぐに飛びついてはいけない
冒頭でお話しした2通りの若手外科医のうち、もう1つのタイプは、患者さんの生命予後に対して現時点ではまだ手術が必要ないのにすぐに手術してしまう外科医です。心臓手術は早くやればいいというものではなく、患者さんや病状に応じて適切なタイミングで行うことがとても重要です。まだ必要ない段階で手術を受けたことにより、本来であれば飲まなくてもいい薬を生涯にわたって飲み続けなくてはいけなくなったり、合併症や後遺症に悩まされたり、将来的な再手術のリスクがアップするなど、さまざまな“マイナス”が生じる可能性があるのです。最新の画像診断で重症化と診断されてもまだ投薬で病状を軽減できて、患者さんのライフスタイルの中でベストなタイミングを推し量れると考えています。
心臓手術で大切なのは、治療ガイドラインで定められている手術適応の“ど真ん中”を見極めて手術を実施することです。患者さんの状況や病状をしっかり把握して、まだほかに治療の手だてがあるならまずはできる限りそれらを試してみて、それでも手術が最適であると判断できるタイミングで行うべきです。