いまの若手外科医は「投げっぱなし」か「すぐ手術したがる」パターンが増えている
しかし、最初に僧帽弁形成術を行った医療機関の担当医は、「術後のこんなケースは見たことがない」などと投げっぱなしで、何も対応する気がありません。その男性患者さんには現実にさまざまな症状が出ていて、病態としては僧帽弁がずれたことで心拍出量が減少し、血圧が低下していることは明らかでした。失神様の症状から常識的に診断がつく状態だとわかっているのに、その担当医は完全に投げ出しているのです。
国立大の医学部を卒業していて知識はあるはずで、もしもSAMだとわかっていながら放置しているとすれば、その担当医の“罪”は重いといえます。自分が手術した患者さんが、術後の後遺症で突然死する可能性があるからです。
当院で診ることになったその男性患者さんの状態から考えると、どこかのタイミングで再手術しなければなりません。しかし、年齢的にまだ若いため再手術はできるだけ先に延ばしたいところです。投薬やカテーテルといった内科的治療を最大限やって、なんとか病状をキープして、数年後にほかの手だてがない状況になってから弁置換術をやり直し、完治させるという方向に引っ張りたいと考えています。