手術2週間前に立てなくなって…芸人・海原かなたさん腰部脊柱管狭窄症を振り返る

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満足に歩けるようになるまで1年かかった

 脊柱管狭窄症の手術は、人によってボルトとナットを入れるなどいくつかパターンはあるみたいなんですが、自分の場合はひしゃげた脊柱管の内側の骨を削って空洞を丸くして神経が当たらないようにする手術でした。全身麻酔で、手術時間は6時間前後だったと聞いています。

「眠くなりますよ」と何度か言われている間にスーッと寝てしまって、起きたら「大成功のうちに終わりました!」と言われてほっとしました。周りにいた先生方からも「いつも楽しませてもらってます」「早く復帰してください」「期待してます」という言葉をいただいてありがたかった。

 そのとき、男性の先生と女性の先生が両側から片方ずつ私の手を握ってくれていたんですけど、シャレで男性の手を離して、女医さんの手だけ握りしめたらムチャクチャ笑ってくれてね。そんなことができるくらい余裕もありました。

 手術した病院でリハビリを含めて1カ月間入院しました。でも、立てるところまでは回復せず、その後、リハビリ専門病院に3カ月入院して、さらに別の病院に1カ月入院しました。3カ月以上は続けて入院できない決まりがあるんですが、家内の仕事が忙しくて「もう1カ月入院してほしい」と言われ、別の病院に移ったんです。

 リハビリの中心は、太ももからふくらはぎにかけての筋肉づくり。筋肉がないから、立ち上がれてもすぐに膝が折れてコケてしまうのです。

 回復まで長くかかるので、リハビリの患者の中には“うつ”になる人もいるみたいです。でも、自分はまったくそんなことはなく、ずっと前向きでした。とにかく仕事に復帰することを一番に考えていたのでね。

 じつは、腰の5年前には頚椎の手術もしているのですが、そのとき個室でしゃべる人がいなくてつまらなかったので、腰のときは4人部屋にしました。リハビリは1日20~30分ですから、あとは病室でよくしゃべっていましたよ。

 計5カ月の入院の後は、デイサービスに行ったりジムに行ったりして、ウオーキングやエアロバイクなどで鍛えていました。満足に歩けるようになるまでには1年かかりましたよ。そして、舞台に復帰できたのは1年と7カ月後。でもこの目標があったから頑張れたのだと思います。ちゃんと声が出るのかわかりませんでしたけど、えらいもんで舞台に立つと出るものです。

 ただ、営業でちょっとネタを忘れたときがありました。相方の髪の毛をフーッと吹かなきゃいけないのに、忘れちゃって……。自分が作ったネタなのにお客さんの方が気付いて教えてくれて、あとから変なタイミングで吹いたりして(笑)。

 健康でも病気でも、気持ちは前向きでないとダメ。この年になってもそれは絶えず思っています。病気で弱気になるのは、自分に負けること。「あれしよう、これしよう」と思っていることが大事ですよ。「もうええねん……」と思ったら、終わってしまうからね。

 今はもう、杖なしで歩いていますよ。衣装ケースもかばんも持ってね。あ、脊柱管の後に胃の手術もしたんですけど、その話はもういいですか(笑)。 

(聞き手=松永詠美子)

▽海原かなた(うなばら・かなた) 1947年、奈良県出身。高校卒業後、俳優養成所「明蝶芸術学院」に入学し、アルバイトを経て海原お浜・小浜に入門。70年に相方・はるかさんとコンビを組み「海原はるか・かなた」としてデビューした。関西の寄席で長い下積み時代を送り、2000年に相方はるかさんの頭髪を吹くギャグで大ブレーク。今も現役で活躍中で、テレビや映画に役者として出演することもある。

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