血糖値が乱れがちな夏だからこそ「血糖トレンド」を意識したい
糖尿病治療の基本は実測による血糖値管理だが、刻々と変わる血糖値をリアルタイムで把握するのは難しい。そこで便宜上、直近1~2カ月の平均的な血糖値を示すとされるHbA1cを使い、血糖値を管理してきた。
しかし、これではどんな食べ物をどのくらい食べたら、どの程度血糖が上がり、それがどの程度続くのか、など血糖値の連続した変化を知ることはできない。
「指先などに針を刺して採血し、血液中のグルコース濃度を測る血糖自己測定=SMBGがありますが、これは『点』の数値であって連続的な『線』の動きを知ることはできません。その欠点を補うのがCGMです」
CGMはHbA1cやSMBGでは見逃されてきた2型糖尿病の病態を明らかにして治療を大きく進歩させた、と薗田院長は言う。
「例えば、夜間低血糖です。低血糖は健康な人には見られない病態で、初期は倦怠感や冷や汗、震えなどの症状ですが、重症化すると意識障害や昏睡状態に陥り、死に至ることもあります。低血糖薬剤を使用している糖尿病患者さんや糖尿病の遺伝のある方は夜間低血糖を起こしやすいことはわかっています。しかし、診断が難しかったのです。疑いがある患者さんは夜中に起きていただき、SMBGを行い、その数値で低血糖と診断。糖尿病治療薬の投与法を変えました。手間がかかるこの方法で診断できる患者さんは限られます。ところが、CGMにより、お年寄りや認知症のある糖尿病患者さんの夜間低血糖さえも把握できるようになり、治療がスムーズになりました」