HIVは脳を攻撃…なぜエイズウイルスはグリア細胞に感染するのか
HIVはまずCD4陽性リンパ球に感染し、それを破壊する。この過程で、通常は外敵の侵入を防ぐ血液脳関門が弱まり、ウイルスは感染した白血球の中に潜んだまま脳内へ侵入する。
「そして、脳内のグリア細胞のひとつであるミクログリア細胞に感染します。ミクログリアは、白血球細胞と共通のルーツを持ち、CD4を持っているため感染対象になるのです」
感染したミクログリアは脳内でHIVを拡散させるだけでなく、他のグリア細胞であるアストロサイトやオリゴデンドロサイト、シュワン細胞などにも悪影響を及ぼし、脳全体の破壊を進めてしまう。
「つまり、現代の黒死病ともいえるHIV感染症もまた、グリア細胞をターゲットとした病気であるということです。今後もグリア細胞に関連する研究は進むでしょう。健康長寿を考える上でその動向に注意すべきです」(つづく)