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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

感覚器と心臓(4)「老人性難聴」は心臓を害して寿命を縮める

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■進化する補聴器を有効活用したい

 ただ、老人性難聴は根本的な治療法がありません。重度難聴の場合に検討される人工内耳手術は一般的ではありませんし、難聴を改善したり聞こえをよくする薬も見当たりません。当帰芍薬散という漢方薬には、体内の血液や水分の循環を改善してむくみをとる働きがあって結果的に難聴の改善に良いという声があり、これを主成分にしたサプリメントも販売されています。ただ、医学的に確かなエビデンスはなく、万人に効果があるとはいえません。

 むくみをとるという点では、西洋薬にも利尿剤がありますが、利尿剤には難聴を進行させるという副作用が報告されているので、逆効果になる可能性があります。やはり、難聴を改善させる薬はないのが現状なのです。

 となると、外部デバイスの「補聴器」を使うのが最も確実で有効な難聴の改善策といえます。

 近年、補聴器はどんどん進化を遂げています。1990年代に登場したデジタル補聴器を皮切りに、現在はAIを搭載し、声をより聞こえやすくしたり、人の声と雑音を分離する機能、周囲の音環境を分析して特定の方向から来る音だけを拾う機能など、多岐にわたる機能を持つタイプが登場しています。充電性能もアップして長時間でも問題なく使用できるようになり、耳かけ型や耳穴型など見た目を重視したデザインの機種も増えています。

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