著者のコラム一覧
南渕明宏昭和医科大教授

心臓血管外科専門医、医学博士。

医師が告げる「診断名」は祝詞と同じか…臨床現場は「漢字」に助けられている

公開日: 更新日:

 心臓がひょっとしたら困っているかも知れないことは否定できないので、「冠攣縮性狭心症や微小血管狭心症という可能性も否定できないのですが、『心筋虚血』ということも……」などと、お伝えすることも可能でしょう。

 臨床現場は漢字で大いに助けられます。中華文明に感謝です!

 人間のカラダは複雑で不思議なものなので、ズバリ、一言で説明できないこともままあります。そうした時、患者さんをけむに巻こうとするつもりはなくとも、あいまいで大ざっぱな説明でも、漢字のおかげでご納得いただけるのです。

 患者さんは納得しているのではなく、お医者さまに「祝詞」をあげてもらい、お坊さんから戒名を頂くがごとくに、ありがたく漢字の「診断名」を拝領して満足して帰る、という構造なのかも知れません。

 これぞまさにスコラ哲学のアベラールの「唯名論」です。

「人間は目の前の現象に勝手に名前を付けて概念化して普遍性を見つけたつもりで理解したと考えているだけだぞ」といった「科学」に対する批判的な考え方です。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋