医師が告げる「診断名」は祝詞と同じか…臨床現場は「漢字」に助けられている
映画「打撃王」(米1942年)では、連続試合出場記録更新中のルー・ゲーリッグは凡フライをたびたび落球することで試合を休んでメイヨー・クリニックを受診します。そして医師から「筋萎縮性側索硬化症」という病名を告げられます。英語の診断名も、漢字の配列と同じ順番でラテン語を並べた語句です。言われてすぐに理解できる人はいないでしょう。
欧米圏でも古代ローマの言葉「ラテン語」は、「なんだか難しいけどありがたい言葉」と、マーケティング的に言うとプレファレス度の高い、つまりブランド・エクイティーの高い、まさに文化の神髄であり続けているようです。
漢字は実に美しい文字です。そして1文字で独立した深い意味をもっています。シンガポールにいたとき同僚の客家人に子供が生まれたときのことです。同僚の父親、つまりおじいさんが「翠」という名前を付けました。彼は私に「これ、どういう意味?」と尋ねてきました。
裕福な家庭でしっかりと教育を受けた誇り高き「南洋華人」でも、漢字の深い意味には詳しくないようです。同時に彼らは「日本人って古い中国の文化をそのまま受け継いでいる」との良い評価があるように感じます。多くの華人(さまざまな中国人を総称した敬称)がそう考えているなら日本人として誇らしい限りです。
でも最近、そんなありがたい漢字をどう書くのか、ほとんど忘れちゃいました! 「不立文字」を実践しています!