著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

脳出血で麻痺が残る60代女性の希望は「自分好みのコーヒーを入れて飲みたい」だった

公開日: 更新日:

 例えば、脳出血で片側麻痺が残る60代の患者さんがいらっしゃいました。私たちの診察時には常に緊張されており、質問にも淡々と短く答える印象でした。

 ところが、訪問看護師さんの報告書には、「利用者さんの希望(したいこと、できるようになりたいこと)」として、「自分の好きなタイミングでリンゴを切って食べたい」「自分好みのコーヒーを入れて飲みたい」と、意外にも具体的で生き生きとした希望が記されていたのです。

 さらにこの患者さんは、リハビリにも意欲的に取り組まれており、週に2回ほどは台所のシンクで皿洗いができるまでに回復されていました。

 リハビリの中では、冷たい飲み物の準備やリンゴのカット、おかずを電子レンジで温めて配膳するなど、生活動作に関する具体的な指導も行われ、できることが少しずつ増えていったとの報告がありました。

 しかし、私たちが診察時に「リハビリはされていますか?」とお尋ねしても、「時々ね……」といったそっけない返答で終わってしまうことが多かったため、このような訪問看護師さんからの報告は、私たちにとってはある種の驚きであり、非常に価値ある情報となったのです。

 この情報をきっかけに、私たちはこれまでの診療内容を細かく見直し、より適切なケアへとつなげることができました。さらに、患者さんとの距離も以前よりぐっと縮まり、より親密なコミュニケーションが取れるようになったのです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵含むプロ注目の高校生「甲子園組」全進路が判明! 県岐阜商・横山温大は岐阜聖徳学園大へ

  2. 2

    カズレーザーと電撃婚の二階堂ふみが向き合う“離婚家系”のジンクス…2人の価値観の食い違いが明らかに

  3. 3

    15年前に“茶髪&へそピアス”で話題だった美人陸上選手は39歳、2児のママ…「誹謗中傷もあって病んだことも」

  4. 4

    巨人・坂本勇人&田中将大が現役続行へ…シーズン終盤でともに来季への好材料も

  5. 5

    二階堂ふみと電撃婚のカズレーザーはレギュラー2本消滅…共に人気女優射止めた山里亮太と"好感度"で明暗

  1. 6

    佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れていた

  2. 7

    世界陸上で注目のイケメン応援サポーター「K」って誰だ? 織田裕二に負けず劣らずの陸上愛

  3. 8

    自民党総裁選「小泉進次郎vs高市早苗」の一騎打ちにとんだ“伏兵”現る

  4. 9

    カブス今永昇太はポストシーズンの働き次第で「84億円」ゲット...去就はいまだ未定

  5. 10

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」