(4)暗い部屋での6~7時間の睡眠が抗利尿ホルモンの働きを低下させる

公開日: 更新日:

 臨床試験の結果、セルフケアを実施したグループB(水分摂取)とD(睡眠)は、飲み薬のみのグループAよりも統計学的に有意にめまいが改善しました。さらに、グループC(飲み薬+中耳加圧療法)と同等の改善効果も確認され、セルフケアの重要性が浮き彫りになりました。

 また、グループB~Dは、ストレスホルモンのひとつである抗利尿ホルモンの働きも下がっていました。抗利尿ホルモンは尿を出すのを抑制するホルモンですので、「抗利尿ホルモンの働きが下がる」ということは「排尿が良くなる」、つまり「体内に水がため込まれにくくなる」ということです。

 メニエール病の発症に関連するストレスは、万人に必ず効く対策というものがありません。しかし、研究では、積極的な水分摂取と、部屋を暗くし睡眠環境を整えた状態で眠ることが抗利尿ホルモン(ストレスホルモン)の働きを下げるという結果が出ていますので、やらない手はありません。

 メニエール病の患者さんは悪天候時にめまい症状に苦しむことが指摘されており、私たちの研究でも「気圧が下がるとメニエール病の方は内耳の水ぶくれがひどくなる」ということが証明されています。10月はまだ台風の季節です。セルフケアでメニエール病対策に取り組んでください。 =おわり

(奈良県立医科大学付属病院めまいセンター長/同大耳鼻咽喉・頭頸部外科学教授、北原糺医師)

【連載】「めまい」は自分で治す

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり