世界中で急増する「撤回論文」…医学論文は最終結論ではない

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「学術論文はまた、他の論文や専門書など、さまざまなメディアに引用されます。重要な知見を報告した論文ほど引用回数は増加しますが、『リトラクション・ウオッチ・データ』では撤回論文の引用回数に関するランキングも公表されています。ランキングの上位にある論文のうち、私たちの生活に小さくない影響を与えた撤回論文として、20年に報告された新型コロナウイルス感染症に対するヒドロキシクロロキンの論文を挙げることができます」

 マラリアの治療に用いられるヒドロキシクロロキンには、抗ウイルス作用も示唆されており、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬候補として注目を集めた。同論文では、ヒドロキシクロロキンの有効性が示され、その引用回数は3189回にも上った。しかし、データの不備などを理由として、24年に撤回されることとなった。

 また、アルツハイマー病の発症メカニズムに関する重要な知見を報告した08年の論文では、2000回以上も引用されたにもかかわらず、論文中の図に改ざん兆候があるとの指摘を受け、24年に撤回されている。

「学術論文は、必ずしも事実のみを伝えているとは限りません。また、科学の発展とともに過去の科学的常識が覆ることもあります。その意味では、論文情報は暫定的な事実であり、常に訂正される可能性を有していることに留意すべきなのでしょう」

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