左胸が「私、乳がんだよ」って…エリザベスエイトのミワユータさん闘病を語る

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何人の人の力になれるんだろう…手術前日は楽しみでした

 検査中はライブ活動をしていましたから、入院前にはファンにも公表しました。私たちも気持ちの切り替えが早かったですけど、ファンの子たちも早くて、「そんなぁ、どうして……」とか「嫌だ泣いちゃう」とかではなく、「私もたばこやめます!」とか「がん検診行ってきます」など、前向きなコメントがすぐ飛んできました。

 手術前日は楽しみでした。「新しい体を手に入れて、これから何人の人の力になれるんだろう」って。私にとって一番大事なのはバンド活動ができることなので、バンドが続けられるなら胸ひとつ神様に差し出すくらい全然OKだと思いました。

 術後きつかったのは、頭痛と喉の渇きです。麻酔が抜けないと誤嚥を起こす危険があるので水が飲めないし、痛み止めはこれ以上増やせない限界まで入っていました。胸の手術をしたのに胸どころじゃなかった。看護師さんが「これしかできないけど」と、冷たいタオルで体をふいてくれたことがありがたかったです。

 でも翌日にはコンビニへ行き、お菓子を買い食いしました。その甲斐あって、回復が早くて入院から6日目に退院。メンバーとファミレスで打ち上げをしつつ、今後の活動計画に花が咲きました。

 抗がん剤が始まったのは約2カ月後の5月11日でした。14日おきに4回投与しました。2回目から味覚が薄れはじめ、3回目は食欲が激減、4回目はさすがにきつくて、生まれて初めて食の楽しみを奪われる苦しみを知りました。

 さらに、コロナ禍かつ感染症にかかりやすい抗がん剤治療中はメンバーにずっと会えなくて、それが想像以上にメンタルに響きました。けれど、これをやらせてくれたのはファンやバンド仲間なのだから、絶対に効くと信じました。

 じつは事前に「オンコタイプDX」という検査を受けたのです。遺伝子を調べて再発率が低い薬を探す検査で、当時は保険適用外で高額でしたが、チャリティーのグッズ販売でお金は工面できました。だからファンのみんなのおかげなのです。

 完璧なスキンヘッドになりましたが、自分自身で“病人”というラベルを貼らないようにウィッグや帽子を買って、服やアクセサリー、メークも含めて全力でオシャレを楽しみました。バッチリメークのスキンヘッドで電車にも乗りましたよ。「私の人生を病気に消費されたくない」という気持ちが強かったですね。

 今は2カ月に1回通院して、ホルモン療法薬を1日1錠服用し、2~3カ月に1回女性ホルモンをストップさせる注射をしています。脳炎や双極性障害、尿崩症もやっているので、毎日大量の薬を飲んでいますけど元気です。

 夢は、ブログの「笑える乳がん闘病記」が書籍化され、宮藤官九郎さんに映画化してもらって、その主題歌を我らが担当することです。

 病気はマイナスに捉えがちだけれど、そこから上がるための“前振り”でしかないと思う。

 もし病気や何かでドン底だと落ち込む人がいるなら、「それはこのあと起こる壮大な素晴らしいことの前振りだから楽しんで」と、私は言いたいです。

(聞き手=松永詠美子)

▽ミワユータ 1979年、埼玉県出身。2006年結成の4人組インディーズロックバンド「Elizabeth.eight(エリザベスエイト)」のボーカルかつ、全楽曲の作詞作曲を担当している。度重なる病気を克服し、今年は投票型コンテスト「OTONOVA2025」ファイナル(Zepp新宿)で、グランプリ及びカラオケ館賞を受賞。夏には6年ぶりに単独ライブを開催した。

■本コラム待望の書籍化!愉快な病人たち(講談社 税込み1540円)好評発売中!

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