著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

寝不足になると「他人を助けたい」という気持ちが減る

公開日: 更新日:

 次に、普段の生活の中で、毎晩の睡眠の質や量が翌日の援助行動にどんな影響を与えるかを調べるため、136人の参加者に4日間連続で協力してもらい、毎日の「睡眠日記」(どれくらい寝たか、質の評価など)と、「人助けに関するアンケート」に答えてもらいました。

 その結果、前の晩の睡眠の質(寝つきや、夜中に起きたなど)が悪かった人ほど、翌日に他人を助けたいという気持ちが低下していることが判明しました。しかも、単に「徹夜」のような極端な睡眠不足だけでなく、普段の生活の中でのちょっとした睡眠の質の低下でも、私たちの思いやりや優しさが失われることを意味すると、研究チームはうたっています。

 そして最後に、社会全体の傾向を調べるために、アメリカで過去15年間(01~16年)に慈善団体へ行われた300万件以上の寄付のデータを分析しました。この調査は、春に行われる夏時間への移行を利用することで、強制的に時計が1時間進められ、人々が睡眠時間を1時間失う--その影響で、「助け合いの行動」がどう変わるかを調べたのです。


 結果は、夏時間への移行による、睡眠時間が1時間短くなった週には、慈善団体への寄付額がなんと約10%減少していることが分かったそうです。さらには、夏時間への移行がない州(アリゾナ州やハワイ州など)では寄付の減少が見られなかったといい、たった1時間の睡眠時間の損失が、見ず知らずの人への金銭的な援助という、社会全体での大きな「助け合いの行動」を低下させることが示されたのです。

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