人生に後悔はありませんでした…五輪メダリストの藤井瑞希さん難病との闘いを語る

公開日: 更新日:

病気をして今は“先”を見なくなった

 今は3カ月に1回の通院ですが、薬の量も変わらず、先生には「はい、変わりないね」としか言われません(笑)。

 ただ、最近の診察では「そうか、来年の夏で5年か」と先生がおっしゃり、「次の検査で大きな変化がなければ薬を減らせるかもしれない」と言ってもらいました。減らせるとしてもほんの少しですけど、そんな段階です。

 薬の副作用は特にありません。体調も崩れないし、熱も出ない。去年新型コロナウイルスに感染しましたが、高熱が2日出ただけで終わりました。我ながら「強い」と自覚しました。

 病気をして、人生観は百八十度変わりました。それまではずっと逆算思考で、数年先に目標を設定し、それに向けていつまでに何をしなければいけないかを組み立てていたんですけど、今は先を見なくなりました。

 白血病になるかもしれないと思っているところもあって、先のことを考えられなくなったのです。でも、悲観しているのではなく、毎日「あぁ、今日も幸せだった」と思って寝るという感じです。今がハッピーならハッピーだと思えて、いつも5年先のことを考えていた頃の自分とは真逆になりました。

 もうひとつは、コーチを始めたことです。

 それまでは指導に興味がありませんでした。自分がやってきたことが正解だとも思わないし、他人の人生でしょ? って。でも、死ぬかもしれないってなったときに「藤井さんのおかげで……」とか言われたらうれしいなって思うようになって(笑)。

 指導することは、今も大好きとは言えないけれど、求めてくれる場所と選手がいて、その人たちに自分がやってきたこと、持っているものが還元できるなら、惜しみなく還元していこうと思っています。

(聞き手=松永詠美子)

▽藤井瑞希(ふじい・みずき) 1988年生まれ、熊本県出身。5歳からバドミントンを始め、小学生からトップ選手として活躍。全国高校総体で3冠(シングルス、ダブルス、団体)を達成。NECに入社後、2012年ロンドン五輪でダブルスの銀メダルを獲得。その後、海外リーグで活躍し、16年に国内プロ選手として復帰。19年に現役を引退し、現在は小学生から日本代表選手までを育成する指導者として全国を飛び回っている。

■本コラム待望の書籍化!「愉快な病人たち」(講談社 税込み1540円)好評発売中!

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    問われるのは菊池風磨のリーダーシップ…timelesz猪俣周杜容疑者“クビ”でも終わらない「タイプロ」の代償

  2. 2

    DeNA藤浪晋太郎はたった1勝なのになぜ? 年俸「5000万→8000万円」大幅増のタネ明かし

  3. 3

    阿部慎之助にした「今ならパワハラで即クビ」の指導&落合博満から学んだ仰天トレーニング

  4. 4

    このところ片岡仁左衛門はダブルキャストが多い理由

  5. 5

    萩本欽一〈48〉73歳で駒沢大学に入学、就活に悩む同級生にした「木彫り名人」の話

  1. 6

    高市首相の日米首脳会談「蜜月アピール」は突っ込みどころ満載…トランプ大統領は「心ここにあらず」

  2. 7

    timelesz猪俣周杜容疑者「異例」の長期勾留がつづくウラとこれから…刑事裁判の見通しも

  3. 8

    DeNA構想外の藤浪晋太郎を拾いそうな「意外な2球団」 “瀕死の剛腕”にはこれだけの魅力

  4. 9

    timelesz猪俣周杜容疑者が殴ったのは「プリクラ彼女?」 逮捕のウラと“タイプロバブル崩壊”カウントダウン

  5. 10

    『デイ・トリッパー』斬新な「ニャー」の響きが世界有数の「美リフ」に仕立てた